★太郎ちゃんの故郷・ナンブリックで年越し

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★2月14日記~何十年振りだろう、今朝はニワトリのけたたましい鳴き声で目が覚めた。実にのどかな村である。昨日のハノイも寒かったが、西北に位置するナンブリック、そして太郎村。朝夕の冷え込みはかなり厳しく、特に寒さに弱い北方民族にとっては、キツ~イ異常気象だ。南国に(しかも期待して)やって来た筈なのに、季節でいえば札幌の晩秋といった感じの気候なのである。昨日といい今朝といい、札幌から持参した厚手のパーカーは終日、絶対に離せないくらい寒い。昨夜もそのパーカーを着込んで、ソックスも履かなくてはならないほどだもの...「いったい、私は何処に来てしまったんだぁ~!」このジ~ンと来る寒さ、大幅な思惑外!

 

昨日は激しいサドンデス・カーレースの末、夕方薄暗くなってナンブリックの街に入った。太郎は前に何度も「ナンブリックは大きな町」「マスター、何も心配ナイ、ダイジョ~ブ」と話していたが、太郎の実家はそのナンブリックからさらに30分の処に存在していた...多分、世界の何処のTV局カメラだって入ったことがないんじゃないか?と思わせる位、極めて郷愁豊かでクラッシック()で、いわゆるカントリーな集落なのであった。

   

太郎の実家には旧正月(年越し)をお祝いするために、すでに老いからお子こちゃままで何人も知人友人、親戚一同が集っていた。ベトナム語など当然全く分からない私は、控えめに笑顔で和風&アジア風ご挨拶をするのが精一杯だった。このイベント、文化やしきたりも大幅に異なるので結構気を遣ってしまうのである。太郎の通訳があるとはいえ、彼の通訳は少々マメさに欠ける上、3年ぶりの対面式なので、イチイチこちらにまで気配れないのは仕方がない状況だろう。しかし、(理由など関係なく)目いっぱいの笑顔は世界共通の友好エネルギーであると再確認した。

 

夜になって、お母さんとお姉さん、加えて親戚婦人部たち製作による旧正月祝いのお目出度いお正月料理が食卓を飾った。当たり前だけど全て100%地産地消の手造り。入れ替わり立ち替わり親戚や客人がやって来ては正月料理を食し、男中心であれやこれやとしばし談笑する。はるばる異国からやって来た(太郎のBOSSでもある)私はVIP待遇で、あちらこちらから何やら質問の嵐になるも只、笑顔でお応えするだけ...此処でもまた、太郎ちゃんは忙しくて通訳どころではないのである。

 

ところが、心のこもった素晴らしい正月料理を前にしてなかなか箸が進まない...世界中を旅して、ゲテモノから超高級まであらゆる料理にチャレンジしてきた私だが、むしろ最近は食嗜好がハッキリしてきて、拒否反応を示すものには、どうしても口まで運ぶことができないのである。たとえば、アジア特有のパクチー(コリアンダー系)や八角(スターアニス・五香粉系)などの香辛料はもう、一切受け付けない。さ~困った。でも、お腹は空いているし...。

 

せっかくのお目出度い席なので、目を瞑って無呼吸で数品食することにした。...ところが、いつもより不思議と違和感なく食べることができたのである(マメにパクチーは取り除いたけど...)。お母さんの優しさや、周囲の人たちの客人に対する温かなおもてなしのエネルギーがそうさせてくれたのだ。年に一回のハッピーディにこちらから押しかけてしまったのである。日本人として、はたまた太郎ちゃんのBOSSとして、間違っても失礼な外交はできない。

 

初めのうちは何となく居場所がなく、何かしらよそよそしい空気や雰囲気だったが、一緒に過ごしているうちに何となく、それまでと全く違う和やかな感覚が湧き上がってくるのを感じていた。それまでは、多少なりともお互いに警戒心、緊張感の漂っていた空気が、知らぬ間に...いつの間にか一体となっていたのである。異星人である私を、彼らは快く受け入れてくれたのだと実感した。今日は旧暦の大晦日。明日は、あ・はっぴーにゅーいやーである。

 

2010_0212_太郎ファミリーお母さん&お姉ちゃん.jpg★太郎ちゃんファミリー。お母さん、お姉ちゃん、おばあちゃん。みなさんとっても優しい人たちばかり。お姉ちゃんの着てるパジャマみたいなのは、ベトナムの女性にはポピュラーな部屋着なんだそうです。

 

2010_0212_213215-太郎家正月料理.jpg★お母さんやお姉ちゃん手作り、100%地産地消のお正月料理。

 

2010_0214_実にのどかな太郎村01.jpg★実にのどかな太郎村。天気もパッとしなかったので、なお一層モノ哀しさ、寂しさが漂っているのでした。太郎ちゃんの実家はこの又奥にある、古い塀だらけの集落です。

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