スープカレー誕生!その1

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タイ薬味いれ.JPGのサムネール画像今日は冬の北国では珍しく一日中、青空の広がる晴天。冬の間中、うねった偏西風は日本海でたっぷり湿り気をもらって、それが日本列島の山脈に直撃して雪になり、石狩平野の街々に白い恋人たちを運んでくる。だから札幌の冬は何時も曇天続き。予報がハズれて今日みたいな晴れになると、それだけで何となく得した気分だね。日差しは雪にキラキラ反射して部屋の中でも眩しいし、日没も関西方面と比べると1時間も早いのに雪明りがあるから夕暮れも何となく明るくて嬉しい。

我々北方民族は閉ざされた冬でもスキー、スノボ、スケート、雪かき、屋根の雪下ろし...とウインタースポーツには事欠かない。が、大部分の道民意識は南方志向でしょ。北方と言えば樺太、アリューシャン、北極しかない訳だし...で、この私の場合は特に熱烈な南国志向。海外も多分70回以上は飛んでるけど、思えば8割はアジア&東南アジアばっかし。

前にやっていたレストランBIGSUNを閉めて生まれて初めて半年間のプー太郎を経験したその機会に、息子の一平(現大阪店を死守している)と一ヶ月間アジアの国々を徘徊してきた。その頃は二十数年間のレストラン経営に疲弊していて「もうあの極(食)道には戻らん!」と固き決意もあった。旅の途中でネパールに立ち寄った時、その風景と漂う香りに懐かしさと胸が引き締まる思いがして...一体何故なんだろう...ミステリアスな感覚の中で旅を続けた。旅好きな私がアジアンスバラ式ビューを見ても、大好きだったエスニックなグッズを手にしてもそれ程の感動が湧いてこない!何故なんだっ!

旅の途中で「感動を人に伝える...歓喜の共有」ができない自分がいる!ことに初めて気付いた。アジアの屋台やレストランで味わった感動をリメイクしてみたり、あなメズラ式グッズたちも「コレ、イイ感じでしょ?」と、伝えることでお客さまはビックリしたり喜んだり感動する...そう、そのサプライズが人生最大の生きがい喜びであることを再認識した。一人占めの絶景、絶品なんて絶対意味ないじゃん「凄いヨネェ~美味しいヨネェ~」を分かち合ったり、提供したり「ヤッパリ、自分にはこの極道しかないんだぞ~っ!」...旅の終り頃には固かった筈の決心も見事に砕け散ってしまった。

93年夏の旅の後、店舗探しに札幌市内奔走。ナケナシ銀行も残高底をついていた。間もなくピン!とくるテナントを見つけ出した、のはイイけれど「何かやらなくちゃいけないけど、何をやったらいいんだろナ~」又、壁にぶち当たった。何時ものパターンだ。考えるより先に走り出してしまう。イケない性分だけど今さら変わらない。交渉して前家賃だけの居抜きのテナント(10坪)契約を済ませた。まだ料理は決まらない。おまけに準備資金もないから内装は家族4人が徹夜で手作り。

93年の10月10日、OPENの日も決まった。店名「MagicSpice」は旅中のバンコクで決めていた。実は当初「タイラーメン」で行こうと思っていたんだけど、お隣が有名ラーメン店。宣戦布告には分が悪い...迷った。迷って悩んだあげく開店日を迎えたのに、それから3日間はコーヒーだけのパパママ喫茶!さあ~、困った!「いくらなんでも今夜はキメ なくちゃねぇ」...10月12日の夜だった。《2へ続く》

 

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