スープカレー誕生!その2

|

ココナツジュース.JPG《1からの続き》10月10日開店にこぎつけたまではヨカッタけれど、食べ盛りの二人の子供たちを抱え、平和な家庭を続けていくには純な喫茶店だけでは難しい。しかも開店から3日間はお客さんもほとんど入ってきやしないしねぇ...4人のお尻に少々火が付き始めた。「食の原点に戻って、大衆に迎合するだけじゃなく本当に作りたい料理を創り出そうじゃないか!」...気だけは確かだった。

極(食)道にカムバックしたとはいえ、それまでの90%の人にイエスと言わせる「可もなく不可もなし」料理作りにウンザリしていた。かと言ってアジアンエスニック料理まで幅を広げるほどのキッチンもない...「そうだ、やっぱりソトアヤム!」それは家族全員の大好物。88年頃から何度か訪れていたバリの屋台料理がイタくお気に入り。家でもBIGSUNの突然MENUでも身内ではお馴染みのインドネシア料理。ソトはスープ、アヤムはチキンの意。つまりスパイシーなチキンスープってこと。「よ~し、コレでいこうよ」皆の意見が文句なく一致した。専門店らしくアレンジしてね。

それにしても「ソトアヤム」じゃインパクトないな~知名度なんて0だし...インドネシアカレーでもやっぱり同じようなもん。「じゃあ、スープカレーにしよか?」そのまんまだけど、分かりやすくてシンプルでイイんじゃない。OPENしたばっかりだけど2日間休んで(それが水・木定休の原因)、完成形のイメージレシピを創り上げ世界初の「スープカレー屋」がめでたくスタート!...が、しかし、開店したその月末になってもお客さんの足は遠~いまま。「受けないのは覚悟の上、売れない自信もあったし...」とはいえ、辛い日々が続いた。

そもそも北海道という処は「進取の気鋭が盛んな」気質の持ち主が広く生息している。新しい文化を採り入れ熟成して全国に発信する...そう、フロンティアスピリットと言えば北海道じゃない?「日本で初めての~」は北海道の小樽、函館に数多くあるのです。でも、こと「食文化」となると一転して保守的、排他的。それもそのはず、尊敬するあの動物行動学の故L・ワトソン博士(08/6/25没)も絶賛する大自然がこの北の島には広がっていて、山海の幸が豊富。新鮮な素材は手間ヒマかけず、あっさり焼いたり煮たりで塩、醤油をパパッとこしらえるが美味ね...そう信じ切っている民族に新たなる料理なんてもんは無意味なこと...

実際、首都圏でどんなに好評を博した新商品(料理)でも北海道で爆発的に花開くことは稀で、基本的に知らない物は食しない、食べたことがない料理は敬遠する傾向があるのと、それほど「食」に関して北方民族は執着心がない。そんな食の北極圏で「スープカレー」などと呼んでしまったもんだから、さ~タイヘン!

93年当時は札幌市内にカレー専門店は16軒。その中で本格的インドカレーを提供していたのはT店(オーナーはインド人)とH店(オーナーはチベット人)。で、スープ状のカレーはA店とS店。この2軒は「スリランカカリー」の大御所でもある。私も札幌で40年ほどこの極道を歩いているので、どの店のオーナーとも旧知の仲。

スープカレーがウケない自信はあったものの、想像を絶するあまりの不入りに時間を持て余して、カレー店では先達の各店に挨拶回りに出かけた...《長くなりそうなので3へ続く》

 

 

 

MT4.1 テンプレート 無料(フリー)